Z世代の価値観を理解した研修設計とは?おすすめ手法や注意点も解説

「Z世代の育成が難しい」「従来の研修が十分に機能しなくなってきている」など、若手社員の人材育成に悩む人事の方は少なくありません。
仕事への価値観や働き方が大きく変化する中で、従来型の一方向的な研修や画一的な指導方法が若手社員に合わなくなってきているのは事実です。
Z世代が主体的に学び、成長を実感できる研修を実現するためには、彼らの価値観や行動特性を正しく理解し、研修の内容・進め方・学習環境を最適化することが大切です。
この記事では、Z世代の代表的な考え方や価値観を整理した上で、研修設計において押さえるべきポイントや効果的な研修手法、実施時に注意すべき点について解説します。Z世代の育成に課題を感じている方や、研修の見直しを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
Z世代の仕事に対する主な考え方・価値観
Z世代に効果的な研修を実施するためには、まず「彼らがどのような価値観や行動特性を持っているのか」を理解することが欠かせません。以下で、研修設計を考える上で押さえておきたい、Z世代に多く見られる特徴を解説します。
タイムパフォーマンス重視
Z世代は幼少期からインターネットを通じて膨大な情報に触れてきた世代であり、必要な情報を素早く取捨選択する力に長けています。そのため、「短時間で効率的に成果を得ること」が当たり前の価値観として根付いていることが大きな特徴です。
仕事や研修においても、目的が曖昧な作業や成果につながらないプロセスにストレスを感じやすい傾向です。「なぜこの研修を受けるのか」「この時間が自分の成長にどうつながるのか」が明確でなければ、主体的に取り組んでもらえないケースも少なくありません。
自分らしさや多様性の尊重
SNSを通じて多様な価値観に触れてきたZ世代は特定の価値観を押し付けられることを嫌い、「自分らしくいられる環境」であるかどうかを重視します。企業にも柔軟な働き方や価値観の尊重を求めるため、画一的なマネジメントや一方的な指導は逆効果になりがちです。
また、協調性より多様性を尊重する姿勢が強く、意見を無理に統一しようとすると反発が生まれることもあります。さらに、上下関係よりフラットなコミュニケーションを好むため、言われた通りにやることを前提とした研修やトップダウン型の指導では納得感を得られにくい点も特徴です。
サステナビリティ志向
学校教育でSDGsを学ぶ機会が増えたことや、SNSを通じて環境・社会課題に関する情報に接していることから、Z世代は社会貢献や環境配慮への意識が高い点も特徴です。企業やサービスに対しても「社会的に正しい行動をしているか」「自分の仕事が社会にどう役立つのか」といった点を重視する傾向があります。
そのため、研修においては単なるスキルや知識の習得にとどまらず、学びがどう社会貢献に結び付くのかを示すことで共感を得やすくなります。
体験価値の追求
体験をSNSで共有する文化で育ってきたZ世代は、モノより「どのような体験を得られるのか」を重視する、いわゆる「コト消費」の志向が強い世代です。研修でも、一方的な座学より体験型・参加型の学びを好み、実際に自分で取り組む形式の方が理解を深めやすい傾向があります。
強い承認欲求
他者とのつながりを大切にするZ世代は、「成果や行動をしっかりと認めてもらいたい」という意識が強い点が特徴です。努力や成果を適切に認められることでモチベーションが向上し、成長意欲も高まります。
一方で、根拠のない評価や曖昧な指摘には納得しにくく、具体的で理由のあるフィードバックを求める傾向があることも特徴です。
失敗恐怖症
Z世代は「正解を知ってから動きたい」と考える傾向があります。研修でも「間違えて恥をかくこと」を強く恐れ、積極的な発言や挑戦をためらうケースが少なくありません。
しかし、人間としての成長には失敗から学ぶ経験が欠かせません。そのため、研修では心理的安全性が確保された環境で安心して挑戦できる場を用意することが大切です。失敗を振り返り、学びへとつなげられる仕組みを整えることで、Z世代の成長を促せるでしょう。
【新入社員】Z世代向けの研修設計のポイント

ここでは、Z世代の価値観や行動特性を踏まえ、より効果的な研修を設計するために押さえておきたいポイントを5つ紹介します。
研修の目的・ゴールを明確に伝える
体験型・参加型の学びを取り入れる
フィードバックを細かく・具体的に行う
デジタルツールを活用する
風通しの良いフラットな環境を確保する
研修の目的・ゴールを明確に伝える
Z世代は目的意識を重視するため、「なぜこの研修を受けるのか」「どのような成果が得られるのか」を冒頭で明確に示すことが重要です。研修の目的や期待される成果に加え、実務での活用場面を具体的に伝えることで納得感が高まり、主体的な参加や学習意欲の向上につながります。
体験型・参加型の学びを取り入れる
Z世代は受動的に話を聞く座学形式よりも体験を通じた学びを好む傾向があるため、グループワークやロールプレイなど実際に考えて行動するプロセスを伴う要素を研修に取り入れると効果的です。
こうした体験型・参加型の形式では研修内容を「自分の業務に結び付く学び」として捉えやすくなり、結果として研修効果を高められます。
フィードバックを細かく・具体的に行う
Z世代は、評価や指摘内容が曖昧だと自身の成長や改善点を実感しにくい傾向があります。そのため、研修の場では良かった点や改善点、次に取るべき行動を明確に示す具体的なフィードバックを行うことが大切です。根拠を示しながら丁寧に指導・フォローすることが、Z世代の学習意欲やモチベーションの向上につながります。
デジタルツールを活用する
デジタルネイティブであるZ世代は、オンライン教材や動画、アプリ、AIなどを活用した学びに抵抗がありません。そのため、研修にデジタルツールを取り入れることで、時間や場所にとらわれない効率的な学びが可能になり、より学習効果を高められます。
風通しの良いフラットな環境を確保する
Z世代は上下関係にとらわれず、立場にかかわらず意見を言いやすいフラットな環境を好みます。そのため、研修においても質問や意見を気軽に言える環境を作ることが重要です。
また、講師や上司が一方的に話すのではなく、双方向のコミュニケーションを意識することもポイントです。発言しやすい雰囲気を作ることで、参加者の主体性や当事者意識を引き出しやすくなります。
Z世代の育成にお勧めの指導方法5選

ここでは、Z世代の価値観や学習スタイルに合った研修手法を5つ紹介します。
- ワークショップ型研修
- 動画マニュアルを見ながらの実践
- ソーシャルラーニング
- eラーニングや動画コンテンツ
- 反転学習
1.ワークショップ型研修
ワークショップ型研修は、Z世代が重視する「体験を通じた学び」を取り入れやすい代表的な手法です。講義を一方的に聞く形式ではなく、参加者自身が手を動かし、考え、他者と対話しながら学びを深めていく点に特徴があります。グループワークやディスカッション、ロールプレイ、ゲーム形式のアクティビティなどを組み合わせることで、学習内容を自分事として捉えやすくなり、理解の定着や主体性の向上につながります。
企業側にとっても、参加者の発言や行動から理解度をその場で把握しやすく、研修内容の改善や個別フィードバックに活かしやすい利点があります。Z世代の主体性を引き出しながら、実践的なスキルを身に付けさせたい企業にとって、ワークショップ型研修は有効なアプローチといえるでしょう。
2.動画マニュアルを見ながらの実践
動画マニュアルも、デジタルネイティブであるZ世代と非常に相性の良いコンテンツです。業務内容や操作手順を動画で確認し、その場で実践する形式を取り入れることにより、視覚的に理解しながらスキルを習得しやすくなります。
動画によるインプット(パッシブラーニング)と実践によるアウトプット(アクティブラーニング)を組み合わせることで、効率良くスキルを身に付けられる点が特徴です。
3.ソーシャルラーニング
ソーシャルラーニングは参加者同士が学び合うプロセスを通じて知識を深める研修手法です。他者とのつながりを重視するZ世代との価値観と相性が良く、主体的な学習を促しやすい点が特徴です。
SNS文化に慣れているZ世代は、意見交換や協働作業への抵抗感が少なく、双方向でのやりとりを通じた学びに前向きに取り組む傾向があります。互いの視点や気付きを共有し合うことで学習内容を多角的に捉えられるだけでなく、コミュニケーション力やチームワークの向上といった効果も期待できます。
4.eラーニングや動画コンテンツ
オンライン教材や動画コンテンツを活用した学習も、Z世代との相性が良い研修手法です。スマートフォンやタブレットでの学習に慣れている世代だからこそ、場所や時間を選ばずに学べるオンライン形式での研修にはストレスなく取り組めます。
特に、短時間でポイントを押さえられるマイクロラーニングや、倍速視聴が可能な動画コンテンツは、タイムパフォーマンスを重視するZ世代の学びに最適です。「必要な情報を効率良く学びたい」「自分のペースで進めたい」といったニーズに応えられるため、学習の継続率も高まりやすくなります。
5.反転学習
反転学習は、事前にeラーニングなどで基礎知識を習得し、その後の集合研修でディスカッションや演習を行う手法です。
全員が一定の知識を持った状態で研修に参加できるため、議論の質が高まりやすく、知識の定着や理解度の向上につながります。また、限られた研修時間を有効に使えることから、効率性やタイムパフォーマンスを重視するZ世代にも受け入れられやすい学習方法といえるでしょう。
Z世代向けの研修を実施する際の注意点

Z世代向けの研修では、内容や手法を工夫するだけでなく、学習環境の整え方や受講者とのコミュニケーションの取り方にも配慮することが大切です。ここでは、Z世代に向けた研修効果を最大化するために意識したいポイントを詳しく解説します。
新人に合わせた最適化学習を取り入れる
Z世代は「自分に合った学び方」を非常に重視する世代です。一斉に同じ内容を同じペースで学ぶ従来型の研修では理解度に差が生まれやすく、モチベーションの低下にもつながります。
そのため、研修ではOJT・ワークショップ・eラーニング・動画教材といった複数の学習手段を組み合わせ、参加者が自分に合った方法を選べる環境を整えると効果的です。理解度に応じて学習量を調整できる仕組みや、興味に合わせて深掘りできるコンテンツを用意することで、学びの主体性が高まり、研修への満足度も向上します。
上司層の意識改革をセットで行う
Z世代の価値観は上司世代と異なる点も多いため、研修を成功させるには管理職側の理解が欠かせません。Z世代の価値観を理解・尊重し、効果的な研修を提供できるよう、管理職向けの研修もセットで実施するとよいでしょう。
従来の指導スタイルを押し付けるのではなく、対話を重視したフラットなコミュニケーションを意識することで、Z世代が研修で学んだ内容を現場で活かしやすくなります。
研修後のフォロー体制(コミュニケーション)を整える
Z世代はこまめなフィードバックや伴走支援を重視する傾向があるため、研修後のフォロー体制を整えておくことも重要です。1on1ミーティングやメンター制度、チャットツールを活用した相談窓口など、継続的にサポートを受けられる環境を整えることで、研修で学んだ内容を実務に落とし込みやすくなります。
「学んで終わり」ではなく、「学んだことを業務にどう生かすか」を一緒に考える姿勢を示すことが、Z世代の安心感や成長意欲の向上につながります。
キャリアパスを可視化する
Z世代は「今自分が取り組んでいる仕事や研修が、将来どのようなキャリアにつながるのか」といった点に関心を抱いています。キャリアの見通しが不透明だと不安を感じやすく、研修の意義や必要性を実感しにくくなってしまいます。
そのため、研修の目的や習得できるスキルが、将来のキャリアにどうつながるのかを明確に示すことが大切です。例えば、「この研修を受けると半年後にはこういう業務を任せられるようになる」「このスキルは将来的にキャリアの選択肢を広げる土台となる」といった形です。このように具体的に説明すると、Z世代は研修を自分の成長プロセスとして捉えやすくなり、納得感を持って取り組めるようになります。
アウトプットの機会を設ける
体験を通じた学びを好むZ世代にとって、研修で得た知識やスキルを実際に使う機会があるかどうかは、研修の満足度や学習効果を大きく左右します。インプットだけで終わる研修では理解が浅くなりやすいため、アウトプットの場を設けることが大切です。
例えば、研修後に現場で実践するタスクを設定したり、学んだ内容をチーム内で共有するミニプレゼンの場を設けたりすることで、学びを自分の言葉や行動に落とし込みやすくなります。「学んだことを誰かに伝える」経験は理解の定着を促すだけでなく、適切な承認を得る機会にもなり、Z世代の成長意欲を高める効果が期待できます。
ナラティブを共有する
Z世代向けの研修では、「なぜそれを学ぶのか」「その学びが将来どのようにつながるのか」といったナラティブ(意味付けされたストーリー)を共有することも重要です。
仕事を覚えること自体が目的になると、Z世代は研修の意義を見いだしにくくなります。「このスキルを身に付けることで市場価値が高まり、将来このような役割やキャリアにつながる」といった具体的なストーリーが示されれば、研修内容を自分のキャリアと結び付けて捉えやすくなります。これにより、Z世代の主体的な学習姿勢を引き出せるでしょう。
まとめ:Z世代に響く研修設計は“価値観理解”がカギ
Z世代に効果的な研修を設計する上で重要なのは、彼らの価値観や行動特性を正しく理解することです。
働く上で必要な知識を講義形式で伝える座学での研修はもちろん重要です。しかし、Z世代は体験を通じた学びに価値を感じやすいため、ワークショップやロールプレイといった経験学習を組み合わせることで、理解の定着や主体性をより引き出しやすくなります。
しかし、研修で業務に必要なスキルだけでなく、挨拶や礼儀、規律意識、困難に向き合う姿勢といった社会人としての基礎的な素養も教えるとなると、多大なコストがかかります。研修リソースを実務スキルの習得に充てたいなら、初めから一定の社会人基礎力を備えた人材を採用するのは育成の投資対効果(ROI)の観点からも有効です。
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