【採用開始は3月・勤務地は地方】 圧倒的劣勢から「幹部候補3名」を獲得。廃業3回を経験した社長が選んだ、起死回生の採用戦略
プロフィール
代表取締役 岸本康彦(KishimotoYasuhiko)
香川県三木町出身。
16歳の頃から「独立」という強い志を抱き、同時に「人はなぜ働くのか」という根源的な問いを追求し始める。独立を志して以降、現在の事業を軌道に乗せるまでに3社の廃業を経験するという壮絶な逆境を味わう。この「再起」のプロセスこそが、現在の「自己実現こそが働く真の目的である」という信念の原点となった。2011年に株式会社i-Linkを設立、2022年には持株会社体制(ホールディングス)へ移行。
“地方企業×採用開始が3月”という圧倒的劣勢から、3名採用の逆転劇
i-Linkホールディングス株式会社は「100年後も自己実現を目指せるインフラを地方からつくる」という壮大なパーパスを掲げています。2030年までに15事業体制を築くことを目標とし、新卒社員とともに新規事業の立ち上げを加速させています。 また、立候補者は幹部へと抜擢する大胆な育成戦略を推進中です。
しかし、その新卒採用の開始時には、極めて高いハードルが存在していました。一般的な採用手法では獲得が困難な「自走型リーダー候補」を、いかにして短期間で3名獲得できたのでしょうか。スキル偏重の市場トレンドとは一線を画す、心理的特性(GRIT)を最優先した意思決定プロセスについて、具体的に解説します。

1.経営課題:求めていたのは「社長」になれる器。だから私は、即戦力採用を辞めて「新卒」に賭けた
—目標達成に向けて、当時の組織や採用活動において直面していた課題は何でしたか?
「2030年までに15事業創出」という大きな目標達成に向けた一番の課題は、新規事業を牽引できるリーダー層が不足していたことでした。既存業務をこなせる人材はいましたが、正解がない状況でも自ら考え事業を形にできる「実行者」を求めていたのです。
さらに当時はスキル・条件を基に中途採用活動を行っておりましたが、当社が求めている「困難から逃げずに挑戦し続ける姿勢」を持つ人材と出会えない状況が続いておりました。
そこで単なる人手不足の解消ではなく、将来の社長・部長を任せられる自走できる人材をどう確保するかを考えました。そして、この問いに対する答えがポテンシャルとやり抜く力(GRIT)を最重視した新卒採用戦略への転換でした。
—新卒採用を開始したとき、市場環境においてどのような課題がありましたか?
市場環境における地理的な制約と活動開始時期の遅れという、二つの課題に直面していました。
地方拠点による地理的制約:香川県という立地から、都市部の学生との接点が限定的であった。
採用市場における後発性(タイミングの不利):活動開始が3月であったため、大手企業の選考が終盤に差し掛かる状況にあり、私たちが求める「自走できる人材」の多くが、すでに就職活動を終了している時期であった。
このような不利な条件下で、いかにして高い実行力を持った人材を確保するかが、当時の最大の懸念事項でした。

2.導入背景:科学的根拠のある「粘り強さ」。Maenomeryの提唱するGRITが、私の経営哲学と完全にリンクした瞬間
—複数のエージェントを利用していたそうですが、なぜMaenomeryのGRIT人材に着目されたのですか?
当社が求める「困難を乗り越えるための精神的粘り強さ」とMaenomeryが掲げるGRIT(やり抜く力)人材がマッチすると感じたからです。
既存エージェントの紹介は、スポーツ経験者=元気がある・体力があるといった表面的な属性だけで学生をご紹介いただくことが多くありました。しかし、3度の廃業という修羅場を経験してきた私の視点では、表面的な明るさと土壇場で逃げない「やり抜く力(GRIT)」は全くの別物であると考えています。なので、既存エージェントからの紹介数はあっても、ミスマッチが続くという状況に行き詰まりを感じていました。
そこで、Maenomeryが掲げる科学的に証明されたGRIT(やり抜く力)という心理特性に着目しました。
GRITとは?=(https://www.maenomery.jp/article/5)
—そこで実際に導入に至ったわけですね。
はい。導入前から感じておりましたが、担当者の方々の誠実さと、当社の目標にコミットする高い当事者意識には感銘を受けました。当初は「本当に質の高い母集団が形成できるのか」という不安がありましたが、Maenomery社は単なるサービス提供を超え、一丸となって支援体制を構築してくれました。
実際に運用を開始すると、先行して取引していた他社を上回るスピード感で応募を集め、当社の採用活動を力強く牽引してくれました。この実行の確実性と、深く寄り添う伴走型のサポートによって導入して正解だったと確信できました。

3.成果:3名の内定承諾。共通点は「執念」と「素直さ」。私たちが“目的達成”のために欲しかった資質
—導入後、どのような成果が生まれましたか?
具体的な成果としては、3名のGRIT人材の入社承諾を獲得したことです。開始時期や地理的な不利を払拭し期待値を上回るスピードで確かな採用成果を実現できています。
採用した人材に共通したのは以下の2つです。
目的達成への執念:明確な原動力を持ち、達成するためのプロセスとして仕事をすることが言語化できている。
フィードバックへの対応力:過去の経験に固執せず、面接での助言を即座に自らの行動へ反映させる「素直さ」を備えている点。
彼らのような目的のために行動し続けられる人材の存在は、既存組織に健全な競争意識をもたらすと信じています。「新卒には負けられない」という空気が醸成され、組織全体の行動基準と熱量が引き上げられると感じています。
4.成功のプロセス:面接官には見せない「学生の迷い」を共有。Maenomeryの「客観的な後押し」が学生の背中を押す。
—知名度のハンデを乗り越え、なぜ優秀な人材をクロージングできたのでしょうか?
当社の相互理解重視の選考スタイルと、Maenomeryの担当者による伴走の連携があったからだと考えます。
まず、最終選考では香川本社へ学生を招き、私との面接や現場社員との対話に計120分を費やします。ここでは当社の良い面だけでなく、泥臭い苦労や組織の課題もすべてさらけ出し、「この環境で自身の人生を切り拓けるか」を学生に問うスタイルを貫きました。しかし、この120分の対話を「単なる熱い面接」で終わらせず、確実な承諾に繋げられたのは、Maenomeryの担当者の存在があったからです。
本音のリアルタイム共有:選考の合間、学生が口にできない不安や迷いを担当者が丁寧にヒアリングし、即座に私へ共有してくれました。
追加面談の設定:学生に迷いがある際は、担当者の助言をもとに追加の面談を設定。企業側からのメッセージと、Maenomery側からの客観的な後押しが重なることで、学生の決断を促すことができました。
「企業、Maenomery、学生」という三者が情報の非対称性を解消し、強固な信頼関係を築けた事こそが、大手・都心企業に競り勝つための決定力に繋がりました。

5.GRIT人材活用の注意点:あえて「内定」とは言わない。学生に「自らの意志」で選ばせることで、入社後の覚悟を劇的に高める
—GRIT人材をマネジメントし、定着させるために意識すべき点は何ですか?
結論から申し上げれば、GRIT人材のポテンシャルを最大化させるマネジメントの核心は、「人生の目的との接続」と「主体性の尊重」の2点に集約されます。
その理由は、やり抜く力を持つ人材は、給与や待遇といった外発的な動機よりも、その仕事が自分の人生にいかなる価値をもたらすかという内発的な動機で動くからです。彼らは自らの人生を切り拓くための挑戦には、驚異的な熱量を発揮します。
具体的には、以下の2つのアプローチを徹底しています。
意味的価値の継続提示:単なる業務指示ではなく、この仕事があなたの人生の目的にどう繋がるかというストーリーを語り続け、仕事に深い意味を持たせます。
最終合格による主体的選択:採用の最終段階では、あえて「最終合格」という言葉を使いました。企業が学生を選ぶのではなく、学生に自らの意志で当社を選ばせることで、入社後の覚悟を劇的に高めています。
このように、強制ではなく価値観の共鳴による結びつきを築くことこそが、困難な状況下でも折れない、長期的な定着と活躍を実現する鍵となります。
6.今後の展望:投資ではなく「生存条件」。AI時代にこそ価値が増す組織創り
—今後の組織戦略と採用の展望についてお聞かせください。
今回の成功を弾みに、27卒では採用目標を8名に増員します。ターゲットは変わらず、将来の事業責任者を担える自己実現者です。
地方企業にとって、新卒採用はもはや将来への投資ではなく、企業の生存条件そのものです。AIによる効率化が進む時代だからこそ、自らの足で動き、現場で泥臭くやり抜けるGRIT人材の価値は相対的に高まり続けるでしょう。Maenomeryを通じて、変化を恐れず自ら道を切り拓ける若手を継続的に登用し、彼らに権限を委譲していきます。その連鎖こそが、次の100年を支える新しい事業インフラを創出すると信じています。
