レジリエンス研修とは?実施する目的や実施方法、研修を成功させるポイント

現代の変化が多いビジネス環境で、社員が身に付けるべきスキルとして重視されているのが「レジリエンス」です。レジリエンスとは逆境を柔軟に受け止め、バネにすることで成長し乗り越えるスキルを指します。
レジリエンスは研修によって伸ばせますが、中には「どのような研修を行えばいいのか分からない」と悩んでいる企業担当者の方もいるかもしれません。
この記事では、レジリエンス研修について、実施する目的や実施方法、研修を成功させるポイントについて解説します。記事を読むことで、レジリエンスおよびレジリエンス研修の重要性やどのように実施すべきかを把握できます。
レジリエンス研修を行う重要性

まずは「レジリエンス」とはどういうものか、そしてビジネスにおいてレジリエンスが求められる背景を踏まえつつ、レジリエンス研修を行う重要性について解説します。
レジリエンスとは
レジリエンスとは、ただ困難に耐えることではなく、逆境をしなやかに受け止め、それをバネにして以前よりも成長する力を指します。
レジリエンスは、物理学の「復元力」を表す言葉として元々使われていました。しかし、現在のビジネスの場面では、心が折れそうな状況でも柔軟に思考を切り替え適応していくための、ポジティブな能力を指す言葉として使われています。
レジリエンスは元々の個人の素質によるものだと思う方もいるかもしれませんが、トレーニングで後天的に身に付けられるスキルです。
トレーニングを通して思考パターンや物事の捉え方が変わることで、これまで「脅威」と考えていた失敗やトラブルを、「挑戦の機会」や「学び」と捉えられるようになるでしょう。
ビジネスにおいてレジリエンスが求められる背景
現代は、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性の4つを意味する「VUCA」という言葉で表現される、予測不能な時代とされています。
このような時代において、前例のない課題に挑み続けるには、失敗を恐れず何度でも立ち上がる精神的なタフさが不可欠です。
また、ビジネス分野では「人的資本経営」の重要性が高まりつつあります。社員を消耗品ではなく「資産」と捉え、長く活き活きと働ける状態を保つことが、企業の存続にも関わる経営課題だと言えるでしょう。特に変化の激しい環境下では誰もが疲弊するリスクがあるため、失敗しても大丈夫と思える「心理的安全性」の高い組織づくりが重要です。
そこで、ただ変化や逆境に耐えるのではなく、変化をチャンスに変えてイノベーションを生み出すための「攻めのスキル」としてレジリエンスが求められるようになりました。
レジリエンスは、社員が疲弊せず、主体的に挑戦し続けるために必須のスキルとなりつつあります。この必須スキルを習得するために、効果的な方法の一つが「レジリエンス研修」です。
レジリエンス研修を実施する3つの目的と効果

ここからは、レジリエンス研修を実施する目的を、次の3つに分けてより詳しく解説します。
・メンタルヘルスの不調予防と離職防止
・生産性と営業力の向上
・変化への適応とチャレンジ文化の醸成
1.メンタルヘルスの不調予防と離職防止
どのような業務であっても、遂行する上で社員がストレスを抱えるケースは少なくありません。
ストレスを完全になくすことは難しいため、減らす工夫をするだけでなく、ストレスへの対処方法を学ぶことが重要になります。そこで有効な手段となるのが、ストレスの原因や対処法を学べるレジリエンス研修です。
レジリエンス研修で、業務上の失敗に対して前向きに考える力やストレス耐性を身に付けることで挫折しにくくなり、失敗を生かせるようになります。その結果、メンタルヘルスの不調を防ぐだけでなく、離職防止効果も期待できるでしょう。
2.生産性と営業力の向上
レジリエンス研修は、職種の中でも特に「営業職」の方にとって有用な内容です。
営業職では、時に厳しい状況に立たされることがあるため、高いレジリエンスが必要になります。研修を通してレジリエンスを高めれば、結果として営業力の強化・向上につながります。
また、営業活動での失敗経験を引きずらない自己調整能力も身に付けられるため、安定したパフォーマンスを発揮しやすくなるでしょう。
加えて、レジリエンス研修の実施によって、レジリエンスの源である「自己効力感」や「楽観性」などの前向きな思考を身に付けることも可能です。これらを身に付ければ、業務に対して前向きに取り組めるようになり、結果として業務効率の向上も期待できます。
3.変化への適応とチャレンジ文化の醸成
変化が大きい現代では、時にこれまで挑戦したことのない業務や物事に取り組まなければならない場面もあるでしょう。その際、従来とは異なるアプローチや視点を持って対処するなど、試行錯誤を重ねることが必要になります。
レジリエンス研修では、変化に対して試行錯誤しながら対応するために必要な「柔軟な発想力」の習得が可能です。また、ストレス耐性の向上によりメンタルが強化されれば、業務をはじめとしたさまざまな物事にチャレンジしやすくなるでしょう。
結果として、新しい業務や環境の変化を「脅威」ではなく、「成長機会」として捉えるマインドセットを身に付けられるようになります。
レジリエンス研修の対象となる人材

レジリエンス研修は基本的にどのような人材にも有効ですが、特に優先して受講させたいのが「若手・新入社員」と「管理職・リーダー」です。以下、対象となる人材にレジリエンス研修を受講させる目的について解説します。
若手・新入社員
社会人になって間もない若手社員や新入社員は、やりたいと思っていることと実際の業務にギャップを感じる場面が少なくありません。レジリエンスが低いと、このギャップに耐えられなくなり、メンタルヘルスの不調を引き起こす可能性があります。
若手・新入社員を対象とするレジリエンス研修では、レジリエンスの向上により、業務内容のギャップで生じるリアリティショックを乗り越えてもらうことが目的となります。
管理職・リーダー
部下をとりまとめる管理職やリーダーは、部下のレジリエンスの鍵を握っているだけでなく、自身も大きな重圧にさらされがちです。
管理職やリーダーがレジリエンス研修を受講すれば、部下のレジリエンスを高める関わり方を学べるでしょう。また、自身のレジリエンスを高めて、業務上の重圧に耐えられるようになってもらうことも目的となります。
レジリエンス研修を実施する方法は?

続いて、レジリエンス研修を実施する方法を具体的に紹介します。
社内で実施
社内研修の一種としてレジリエンス研修を実施する方法です。
社内でのレジリエンス研修には、自社の課題や文化に合わせてオリジナルの研修内容を設計できるメリットがあります。既存の社員教育プログラムと組み合わせた場合、より実践的に学べる上に、フォロー体制も構築しやすくなるでしょう。
社内で実施した場合、研修終了後にアンケートを実施すれば、レジリエンス研修に対する意見やフィードバックを募って次回に反映することも可能です。研修の実施とフィードバックのサイクルを重ねることで、研修ノウハウを蓄積できる点もメリットと言えます。
外部研修の受講
外部の専門機関に依頼してレジリエンス研修を実施するのも、有効な手段の一つです。外部研修には、専門家による質の高い研修を受けられるメリットがあります。
また、レジリエンス研修に関する専門知識や人材などのリソースが自社にない場合、外部研修によって教育できる点も強みと言えます。
さらに、他企業との合同開催であれば、普段は出会わない人とのコミュニケーションで刺激を受け、ビジネスやレジリエンスに関する視野を広げやすくなるでしょう。
レジリエンス研修の具体的なプログラム(内容)

ここからは、レジリエンス研修の具体的なプログラム内容を紹介します。実際に研修を行う際の参考にしてみてください。
思考のクセを客観視する(SPIS・エゴグラム)
就労定着支援システムの「SPIS」や心理検査の「エゴグラム」などを用いて自身の「思考の型」を把握し、ストレスを感じやすい場面や言葉の傾向を客観的に把握するプログラムです。
検査結果という客観的なデータを用いることで、感情論に流されず納得感を持って自分の内面と向き合えます。また、ストレスを増幅させる無意識の思い込みを言語化すれば、感情の波に飲み込まれないよう、思考にブレーキをかけるスキルを身に付けられるでしょう。
感情を整え、視点を変える(ABC理論・リフレーミング)
「ストレスの原因は出来事そのものではなく、自分の捉え方にある」とするABC理論の仕組みを理解するのも、レジリエンス研修の一環です。
この他に、ネガティブな事象に対して、「成長の機会」などの肯定的な意味に変換するリフレーミングを実施し、多角的な視点を学ぶことも重要と言えるでしょう。
これらのワークを通して視点の切り替えを繰り返すことで、困難な状況でも打開策を見出すしなやかな思考力を身に付けられます。
孤立を防ぎ、支え手に気付く(ソーシャルサポート)
ソーシャルサポートについて学ぶことも、重要なプログラムの一つです。レジリエンスは一人で耐えることではなく、適切に他者を頼る能力でもあると理解すれば、心理的な孤立を防げるでしょう。
例えば、業務支援や精神的支柱など、自分を支えてくれるサポーターを具体的に書き出して可視化します。このワークを通して多くの人に支えられている事実を認識すると、組織への信頼感を獲得できたり、自身も誰かの支えになっていると自覚できたりします。
レジリエンス研修を成功させるための6つのポイント

ここからは、レジリエンス研修を成功させるために重視すべきポイントを解説します。
1.レジリエンス研修のテーマとメリットに対する理解を得ること
レジリエンス研修を成功させるには、受講者に研修の必要性やテーマ、レジリエンスを高めることでどのようなメリットがあるのかを理解してもらうことが大切です。
例えば、状況を前向きかつ柔軟に解釈して適した行動を取れるようになる、ストレスに適切に対処できるようになるなど、レジリエンスの必要性を理解してもらうとよいでしょう。
研修の最初にテーマや受講のメリットを提示することで学習意欲が高まり、研修内容の定着を促す効果も期待できます。
2.参加者の自発的な参加を促す
レジリエンス研修は知識を習得するための研修ではなく、主に内省や自分自身の気付きを通してスキルを獲得するための研修です。そのため、受講者自身の自発的な参加が重要になります。
例えば、個人ワークだけでなく、グループワークのように受講者同士で気付きを共有できる場やアウトプットできる場を作るとよいでしょう。自発的な参加や受講者同士での学び合いを促すきっかけになります。
3.受講者が内省しやすいカリキュラムを実施する
レジリエンス研修を実施する際は、「受講者が内省しやすいか」を重視してカリキュラムを作成しましょう。
ストレスを感じたとき、人は偏った見方をしやすいものです。そのような場面でも、偏った思考に陥らずに感情をコントロールするスキルを身に付けるには、自身の思考や行動のパターンを内省することが重要となります。
これらを踏まえた上で、レジリエンス研修では以下のステップに沿って内省を促すのが効果的です。
立ち止まる
自分の感情と願いを知る
目的や結果を見据えて前向きに捉える
自己成長サイクルを回し、出来事を教訓化する
上記のステップに沿いつつ、適宜ケーススタディや振り返り型のワークなどを取り入れると、受講者が内省できる機会を増やせるでしょう。
4.組織全体でサポートを行う
レジリエンス研修を実施する際は、組織全体でサポートする体制を作ることも重要です。受講者に対して、上司や先輩などが継続的にフォローする体制を構築しつつ、定期的なストレスチェックを実施して社員の負荷軽減に努めましょう。
さらに、上司やメンター、OJTトレーナーとの三者面談を定期的に実施すれば、課題の早期発見につながります。なお、これらの体制・環境を築くには、まず管理者自身がレジリエンスを高め、部下の心理的安全性を確保することが必要です。
5.レジリエンスの素養がある人材の配置・採用を意識する
レジリエンス研修は、受講者の素質によっても効果が異なります。研修で後天的に獲得できるスキルもありますが、中には行動力や社交性など、生まれつきの素質に依存しやすい部分があることも否めません。
研修の実施を含めて社内全体でレジリエンスの向上を目指すなら、レジリエンスの素養がある人材の配置・採用を意識することも手段の一つと言えます。素養がある人材を集めることで、レジリエンス研修の効果を最大限に発揮できるでしょう。
6.レジリエンスの専門家(講師)に依頼する
レジリエンス研修はストレスや個人の感情など、メンタルに関するテーマを取り扱う研修です。そのため、企業研修やカウンセリングの経験者、レジリエンス認定講師、臨床心理士の資格保有者など、専門知識のある講師に相談・依頼することが大切です。
レジリエンス研修に関する豊富な知識・経験を持つ専門家に任せることで、受講者それぞれの状況や考え方に合わせた、きめ細かい対応が期待できるでしょう。
まとめ:レジリエンス研修を通して社員の意欲と生産性を高めよう
レジリエンスを高めると、環境の変化や業務に対するプレッシャー、ストレスに対処しやすくなる上、離職防止や生産性の向上にもつながります。
社員のレジリエンスを高めるには、レジリエンス研修の実施が効果的です。テーマや受講のメリットを理解してもらった上で研修内容を工夫すれば、自発的な参加、学習意欲の向上を促せるでしょう。
しかし、研修を通して既存社員を育てることは重要ですが、より即効性を求める方もいるかもしれません。
その場合は、スポーツや芸術、起業やインターンなどで、困難を乗り越えた経験を持つ、入社前から高いレジリエンスを持つ人材を採用戦略に組み込むのも効果的です。
MaenomeryのGRIT人材紹介サービスでは、「やり抜く力=GRIT」を持つレジリエンスの高い人材を紹介しています。
人材が定着することを目標とし、入社後の長期定着、活躍を見据えたマッチングを行います。
「レジリエンス力の高い人材・逆境にも折れない人材を採用したい」と考えている方は、MaenomeryのGRIT人材紹介サービスをぜひご利用ください。