Z世代の内定辞退はなぜ起こる?企業が見直したい原因と7つの対策を解説
「面接では入社意欲が高そうだったのに、内定を辞退されてしまった」
「内定者との接点を増やしているものの、承諾につながらない」
新卒採用に取り組む企業の中には、このような悩みを抱える採用担当者もいるのではないでしょうか。
Z世代の内定辞退を減らすには、学生が入社先を選ぶ際に重視していることと、自社が伝えている情報のずれを確認することが大切です。給与や勤務地への不安、仕事内容の理解不足、選考中のコミュニケーションなど、見直すべき点は企業によって異なります。
この記事では、Z世代の内定辞退を考えるうえで押さえたい背景と、企業が取り組める7つの対策を解説します。面談で使える質問例や、対策の効果を確認する方法も紹介します。
Z世代の内定辞退は「世代の特徴」だけでは説明できない
内定辞退が続くと、「最近の学生は気持ちが変わりやすい」「会社への帰属意識が低い」と感じるかもしれません。しかし、世代だけに原因を求めると、自社で改善できる課題を見逃してしまいます。
本記事では、Z世代の中でも新卒採用の対象となる学生を中心に扱います。同じ年代であっても、希望する仕事、働く場所、生活上の事情、成長への考え方は一人ひとり異なります。
まず確認したいのは、学生本人が何を基準に入社先を選び、その判断に必要な情報を得られているかです。
調査から見える、内定辞退の具体的な理由
電通が2025年に公表した「Z世代就活生 まるわかり調査2025」では、内定辞退の経験者238人の回答として、待遇への不満が23.1%、勤務地・転勤への不安が20.2%、希望職種との違いが14.3%でした。より志望度の高い企業の内定を得たこと以外にも、働く条件が判断に関わっています。
調査全体の対象は2025年・2026年卒業予定の大学生・大学院生483人で、実施期間は2025年2月20日〜3月7日です。これは対象学生の回答を示したものであり、Z世代全体の辞退率や、他世代より辞退しやすいことを示す数値ではありません。出典:電通「Z世代就活生 まるわかり調査2025」
この結果を採用活動に生かすなら、企業の魅力を伝えるだけでなく、学生が気にしている条件について具体的に説明できているかを点検することが出発点になります。

Z世代の内定辞退につながりうる5つの要因
辞退理由を「他社に決まった」で終わらせると、次の採用活動に生かせる情報が残りません。以下の5つの観点から、自社で確認すべき点を整理しましょう。
1.給与・勤務地・働き方が希望と合っていない
仕事内容に魅力を感じていても、給与や勤務地が生活の希望と合わなければ、入社を選びにくくなります。
例えば、「勤務地は入社前に決まる」とだけ伝えられた学生には、住む場所や引っ越し費用を見通せない不安が残ります。また、初任給の金額だけでは、手当の内訳や入社後の生活を十分にイメージできない場合もあります。
すべての希望をかなえることは難しくても、確定している条件、未確定の事項、決定時期を分けて説明することはできます。
2.入社後の仕事や成長の道筋が見えない
「若手が活躍できる」「成長できる環境」という説明だけでは、学生は自分が働く姿を具体的に描けません。
入社後に担当する業務、最初に覚えること、つまずいた際の支援などが分かると、自分との相性を考えやすくなります。
特に、学生が期待している仕事と実際の初期業務に違いがある場合は、選考中に説明しておくことが大切です。魅力的な仕事に至るまでの過程も含めて伝えましょう。
3.社員とのやり取りに違和感がある
面接や面談は、企業が学生を理解する場であると同時に、学生が職場を知る機会でもあります。
質問への回答が曖昧だったり、担当者によって説明が異なったりすると、学生に疑問が残ります。日程変更の連絡や問い合わせへの対応も、自社の姿勢を伝える接点です。
面接官個人の印象だけでなく、選考全体を通じて一貫した説明と対応ができているかを確認しましょう。
4.他社と比較したときに、自社を選ぶ理由が明確でない
学生から「他社に決めました」と言われた場合、比較されたのは給与や知名度だけとは限りません。
仕事内容、上司との相性、働く場所、成長の機会など、本人が重視する条件はさまざまです。企業が強みだと思っている点と、学生が知りたい点が一致しているとも限りません。
他社より優れている点を並べる前に、その学生にとって重要な判断基準を理解することが必要です。
5.内定後も、意思決定に必要な疑問が残っている
内定者イベントに参加していても、入社に関する不安が解消されているとは限りません。
「配属先の働き方を聞きたい」「繁忙期の実態を知りたい」と思っていても、大勢の前では質問しづらい場合があります。
接点の回数だけでフォローの充実度を判断せず、その接点で何を確認できたかに目を向けましょう。

Z世代の内定辞退を減らすための7つの対策
内定辞退対策は、大規模なイベントや新しい採用ツールの導入から始める必要はありません。今ある面談や説明資料を見直すことから取り組めます。
1.選考中に、学生の「入社先を選ぶ基準」を確認する
志望度を聞くだけでは、学生が何に迷っているのかは分かりません。選考中から、仕事選びで大切にしていることを確認しましょう。
例えば、次のような質問が使えます。
- 入社先を選ぶうえで、特に大切にしていることは何ですか?
- 仕事内容・働く場所・待遇の中で、優先したいものはありますか?
- 当社について、まだ判断しづらい点はどこですか?
確認した内容は採用担当者と面接官で共有し、次の面談で同じ質問を繰り返すのではなく、必要な情報を提供できるようにします。就職活動を通じて考えが変わることもあるため、過去の回答だけで判断しないことも大切です。
2.内定通知と併せて、条件と未確定事項を整理する
給与、勤務場所、職種、配属の決め方などを、一度に確認できる形で整理しましょう。
| 確認項目 | 学生に伝える内容 |
| 給与 | 基本給、手当の内訳、適用条件 |
| 勤務地 | 想定エリア、決定時期、転勤の扱い |
| 仕事内容 | 初期業務、配属の決め方、希望の扱い |
| 働き方 | 勤務時間、休日、制度の利用条件 |
| 育成 | 研修内容、現場での指導、相談先 |
未確定の事項を、確約したように伝えることは避けましょう。「何が決まっていないか」と「いつ、どのように決まるか」を説明することが、納得して検討するための土台になります。
3.配属先に近い社員と、具体的な仕事を話せる場をつくる
社風を伝えるには、抽象的な説明に加えて、現場の具体例が役立ちます。
例えば、学生の疑問が「営業経験がなくても働けるか」であれば、入社当初に同じ不安を持っていた社員と話す機会が考えられます。
面談では、成功談だけでなく、最初に苦労したことや周囲から受けた支援も話してもらいましょう。学生が知りたいテーマを事前に共有すると、短時間でも内容を深められます。
4.内定者フォローを、本人の疑問に合わせて組み立てる
全員に同じイベントを案内するだけでなく、残っている疑問に応じて接点を選びましょう。
| 学生が迷っていること | フォローの例 |
| 仕事内容を想像できない | 現場社員との面談、職場見学 |
| 自分に務まるか不安 | 新入社員の育成担当者との面談 |
| 配属や勤務地を確認したい | 制度を説明できる担当者との個別面談 |
| 人間関係が気になる | 配属先に近い社員との少人数交流 |
連絡手段や頻度も、本人の希望を確認します。接点を増やすこと自体を目的にせず、各回で「何を確認できれば判断が進むか」を明確にしましょう。
5.仕事の魅力と難しさをセットで伝える
良い面だけを伝えると、学生が後から別の情報を知った際に、説明との違いを感じる可能性があります。
例えば営業職なら、「成果が評価される」という魅力に加え、新規開拓や目標管理など、実際に向き合う仕事も説明します。その際は、難しさだけで終わらせず、研修や上司の支援も伝えることが大切です。
自社に合うかどうかを、お互いが具体的に確認できる説明を目指しましょう。
6.承諾期限までの確認事項を、一緒に整理する
承諾を促す前に、学生が何を確認できれば判断できるのかを聞きましょう。
「配属について確認したいのであれば、担当者との面談を設定する」「条件の説明が必要であれば、資料を共有する」といったように、疑問と対応を結び付けます。
期限を伝える際は、企業側の事情も説明したうえで、判断に必要な時間について相談します。他社の選考をやめるよう迫る対応や、回答を急がせるために不安をあおる伝え方は避けましょう。
7.辞退理由を記録し、改善できるものから対応する
辞退の連絡があった際は、本人が差し支えない範囲で理由を聞き、回答を無理に求めないようにします。
記録する際は、本人の発言と担当者の推測を分けることが大切です。
例えば、「別の会社の仕事内容が希望に近かった」という回答から、根拠なく「給与が原因だった」と判断しないようにしましょう。理由が分からなければ「未確認」と残します。
集まった理由は、次のように整理すると対応を決めやすくなります。
- すぐに改善できること:返信の遅れ、資料の不足、説明の不一致
- 現場との調整が必要なこと:社員面談、職場見学、仕事内容の説明
- 経営・人事で検討すること:給与、勤務地、配属方針、働き方
まずは、自社で繰り返し起きている問題を一つ選んで改善しましょう。

内定者面談で使える質問例
内定者との面談では、「入社してくれますか」という意思確認だけで終わらせないことが大切です。
以下は、学生の判断を支援するための質問例です。回答を評価する面接ではないことを伝えたうえで、必要なものを使いましょう。
| 確認したいこと | 質問例 |
| 入社先を選ぶ基準 | 「会社選びで、最後に決め手になりそうなことは何ですか?」 |
| 自社への理解 | 「当社で働く姿を想像したとき、具体的にイメージできる部分はありますか?」 |
| 残っている疑問 | 「まだ情報が足りず、判断しづらい点はありますか?」 |
| 期待とのずれ | 「これまでの説明で、最初のイメージと違った点はありますか?」 |
| 必要な支援 | 「どのような社員の話を聞けると、検討しやすくなりそうですか?」 |
| 次の行動 | 「今日確認できなかったことを、いつまでにお伝えするとよいですか?」 |
他社名や選考状況など、学生が話しづらい情報を無理に聞き出す必要はありません。面談後は、企業側が回答する事項と次の連絡予定を共有し、約束した対応を実行しましょう。

内定辞退対策で避けたい対応
連絡の遅さやイベント欠席だけで、辞退すると決めつける
返信が遅い理由には、授業、研究、部活動、アルバイトなども考えられます。一つの行動だけで志望度を判断せず、連絡しやすい方法や都合を確認しましょう。
家族への説明を、本人への説得に使う
家族に相談したい学生には、本人が共有しやすい会社・仕事・条件の資料を渡す方法があります。本人の意向を確認せずに家族へ連絡したり、家族から入社を促してもらおうとしたりする対応は避けましょう。
辞退を、意欲や「やり抜く力」の不足と結び付ける
内定辞退という結果だけでは、その人の仕事への姿勢や能力は判断できません。
採用でGRIT(やり抜く力)に着目する場合も、過去の挑戦や困難に向き合った行動を具体的に確認することが大切です。自社への入社を選ぶかどうかと、困難に向き合う力は分けて考えましょう。
内定辞退対策の効果は、どう確認する?
対策を実施したら、内定承諾率に加えて、辞退が起きた段階も確認しましょう。
社内管理では、例えば次のように定義をそろえます。
| 指標 | 計算・確認方法 |
| 内定承諾率 | 同じ採用年度の内定承諾者数 ÷ 内定通知者数 × 100 |
| 承諾後辞退率 | 同じ採用年度の承諾後辞退者数 ÷ 内定承諾者数 × 100 |
| 未回答者数 | 集計時点で承諾・辞退の回答が出ていない人数 |
| 辞退理由の把握状況 | 本人の回答を確認できた人数と、未確認の人数 |
内定通知直後と回答期限後では、数値の意味が変わります。比較する際は、採用年度や選考段階、集計時点をそろえましょう。
例えば内定通知10人のうち、承諾5人、辞退2人、未回答3人なら、集計時点の承諾率は50%です。ただし、未回答者がいるため最終結果ではありません。
また、人数が少ない場合は1人の増減で割合が大きく変わります。率だけで良し悪しを決めず、人数と個別の経緯を併せて振り返ることが大切です。
Z世代の採用では、入社前から相互理解を深めることが大切
内定辞退対策で目指したいのは、学生が仕事内容や条件を理解し、自分の意思で入社を選べる状態をつくることです。
そのためには、内定後のフォローだけでなく、採用の入り口から自社が求める人物像と、候補者が望む働き方を丁寧に確認する必要があります。
Maenomeryは、GRIT人材紹介やGRIT就活イベントを通じて、企業と求職者の出会いを支援しています。採用したい人物像の整理や、自社に合う学生との接点づくりに課題を感じている企業様は、ぜひご相談ください。
入社後の定着や育成については、「Z世代がすぐ仕事を辞めるのはなぜ?7つの対策で早期離職を防ぐコツを解説」も併せてご覧ください。