「採用しても辞めてしまう。」過酷な現場でも辞めない人材を採用したいAScareが、GRIT人材を選んだ理由とは
プロフィール
北口 鈴夏 株式会社ASCare 人材管理部 人事課
介護職員として入社し、訪問入浴や事業所の副リーダーとして3年以上の現場業務を経験。介護福祉士の資格を取得し、その後人事課へ異動。
「採用しても、夏の時期に辞めてしまう。」組織の危機を救ったのは、GRIT人材の底力だった
訪問入浴介護事業を展開する株式会社ASCareは、近年、組織の成長を阻む深刻な課題に直面していました。売り手市場における母集団形成の難航、内定辞退と、現場の厳しさに起因する早期離職です。
この苦境を打開するために同社が打った新たな一手。それは、スキルや経歴以上に、困難な状況でも粘り強く業務に取り組むGRIT(やり抜く力)を持つ人材へ、採用の軸を転換することでした。従来の採用基準を根本から見直し、この資質を最優先した結果、同社はいかにして定着率の向上と組織の安定化を実現したのか。
今回は株式会社ASCare人事課の北口氏に、GRIT人材が組織にもたらした具体的な変化と、その採用戦略の重要性について詳しくお話を伺いました。

1.採用課題:母集団不足、内定辞退、そして夏場の早期離職と紹介会社とのシビアな関係性
——御社ではどのような採用課題に直面されていたのでしょうか?
北口氏:新卒採用において、入り口である母集団形成から、その後の定着に至るまで、私たちは大きく分けて2つの課題に直面していました。
母集団形成
ここ数年は売り手市場の影響で、採用市場の状況が一変しました。紹介手数料の高騰に加え、他社との競合も激しくなり、紹介会社からのご紹介数も減少傾向にありました。その結果、母集団の形成自体が困難になり、従来のやり方だけでは採用予定人数を確保することが非常に難しい状況が続いていました。
夏場の過酷な環境による早期離職
当社の主力事業である訪問入浴は、3人1組のチームでお客様のご自宅を訪問する仕事です。非常に体力を要する業務であり、特に夏場は過酷です。せっかく採用できても、現場の環境変化に戸惑い、定着に至らないケースが発生しており、特に夏場の退職は長年の課題でした。

2.導入:現場の厳しさを共有し、辞めない人材を連れてくるバディとしての信頼
──数多くの人材紹介会社がある中で、なぜMaenomeryを選ばれたのでしょうか?
北口氏:導入の最大の決め手は、私たちの現場における過酷さを乗り越える心身の強さについて、深い理解があったことです。
Maenomeryさんの提案は、単なる「体力がある人材」の紹介にとどまりませんでした。弊社の主軸である訪問入浴サービスは、浴槽を運搬する体力はもちろん、夏場の過酷な環境やチーム連携のプレッシャーに負けない精神的なタフさが不可欠です。Maenomeryさんは、単に「スポーツ経験がある」「体が強い」という表面的なスペックだけでなく、厳しい局面でも折れない心理的な適性(GRIT)まで深く理解してくれていました。
GRITについての詳細はこちら:GRIT(グリット)とは?やり抜く力の意味や伸ばし方、見極め方法を解説
──他にどのような理由がありましたか?
北口氏:私たちがMaenomeryをビジネスパートナーとして選んだ2つ目の決め手は、担当者様の誠実な伴走支援です。
人材の提案力だけではありません。導入当初からの丁寧なヒアリングに加え、担当が変わった現在も、不明点には誠実かつ迅速に対応いただいています。ビジネスパートナーとして信頼できるこの姿勢も、継続してお付き合いしている理由の一つです。
現場への深い理解と、私たちを支える誠実な対応。この二つが揃っていたことが、導入の、そして今もMaenomeryさんを選び続けている理由です。

3.定量的な成果:「負の連鎖」が止まった。数字以上に価値あるGRIT人材
──実際にMaenomeryを通じて、どのくらいの方が採用に至ったのでしょうか?
北口氏:弊社で採用難易度の高いとされている関東エリアだけで計7名の採用に成功しました。新卒採用が極めて困難な市況の中、東京・埼玉・千葉だけで、23卒で2名、24卒で3名、25卒で2名とコンスタントに入社が決定しており、全国規模で見ればその数はさらに多くなります。
──採用数だけでなく、その後の「定着状況」はいかがですか?
北口氏:退職者がほとんど出ず、定着率は極めて高いです。
実は、単なる人数以上に価値があるのがこの点です。以前は紹介経由でも早期退職が課題でしたが、Maenomeryさんはこちらの厳しい条件も理解した上でGRIT人材を紹介してくれるため、入社後のギャップが少なく、長く活躍してくれています。
採用コストが高騰する中で、コストを無駄にせず、現場に穴を開けない。この「採用コストの最適化」こそが、私たちにとって数字以上の最大の成果だと感じています。
4.組織熱量の底上げ:15事業所・200名のリーダーに立候補
──現場での活躍や組織への影響など、定性的な変化はありましたか?
北口氏:入社したGRIT人材である高砂さんの「覚悟を持った行動」が、現場全体の士気を底上げし、組織の基準を一段引き上げてくれました。
象徴的だったのは、全3ブロック・15事業所、計200名以上の社員を巻き込んで行う社内プロジェクトでの出来事です。これは、各エリアから選抜された委員が企画・運営を行う責任重大な役割であり、通常であれば、誰もが尻込みするようなプレッシャーのかかる大役です。
そこで、普段は口数も少なく、どちらかと言えば大人しい印象だった高砂さんが、自ら「プロジェクトリーダーをやりたい」と手を挙げたのです。
——200名の先頭に立つということは、並大抵のプレッシャーではありませんね。
北口氏:その通りです。しかし彼は、その重圧から逃げることなく、真正面から受け止めました。
「自分たちが会社を良くするんだ」という強い当事者意識を持ち、困難な調整役を最後までやり抜いたのです。派手なパフォーマンスではなく、静かだが熱い「やり抜く力(GRIT)」を見せつけられたことで、周囲の社員にも「彼がやるなら自分も」というポジティブな連鎖が生まれています。
5.見極め:定着人材を見抜く唯一の指標
──長く定着する人材には、どのような共通点があるとお考えですか?
北口氏:長く定着し成果を出す人材の共通点は、「チームスポーツなどの組織の中でやり抜いた経験」があることです。これが、私の中で活躍を予測する指標になっています。
理由は、3人1組で連携し続ける訪問入浴特有の大変さにあります。現場では個人のスキル以上に、チームとして機能できるかが問われるからです。苦しい局面で「自分はここまでやった」と線を引かず、「チームのために何ができるか」を考え抜けるか。この逃げ出さない姿勢こそが、GRITの本質だと考えています。
スキルは後から習得できますがスタンスは変えられません。だからこそ、私たちが重視するのは、表面的な協調性ではなく、困難な環境でも泥臭く役割を果たせるかどうかなのです。

6.展望:異文化を繋ぐリーダーと、組織の未来を創る
──最後に、今後の組織戦略についてお聞かせください。
北口氏:今後は、外国籍の人材との協働も視野に入れ、言葉や文化の壁を越えてチームをまとめる「人間力」のある組織づくりを目指しています。
少子高齢化が進む中、国内の人材だけで現場を支え続けることは現実的ではありません。弊社でも特定技能実習生の受け入れを強化していますが、現場ではどうしても「言葉の壁」や「文化の違い」による戸惑いや摩擦が生じます。
こうした場面で最も重要なのが、言葉がすぐに通じなくても諦めず、理解し合えるまで向き合い続ける姿勢です。相手が外国人スタッフであっても、壁を作らずに泥臭くコミュニケーションを取り、チームを一つにする。これからのリーダーには、単なる業務スキル以上に、こうした異なる価値観を繋ぐ力が求められます。
私は、多様なバックグラウンドを持つ仲間を尊重し、共生できる組織であることが、結果としてお客様へのサービス向上にも繋がると信じています。
今後も、こうした人間力を重視した採用と育成を通じて、選ばれ続ける組織を作っていきたいと考えています。
高砂さん